漢和辞典で平仄を調べる(実践編)

前々回の【『三体詩』「華清宮」の平仄を調べる】の記事で平仄の概要を学習しましたが、今回は、具体的に漢和辞典で平仄を調べてみます。

漢和辞典「新字源」の内容をそのまま掲載することはできませんので、今回は、平仄に必要な四声の記号を使って表現してみます。なお、この記号を新しい新字源では「韻目」と呼び、改訂前の新字源では「韻字」として表現しています。

平声の記号 平声の記号
上声の記号 上声の記号 去声の記号 去声の記号 入声の記号 入声の記号

このとき「平声」の文字を「平字」、「上声・去声・入声」の文字を「仄字」と呼びます。

では、「華清宮」の漢字を一文字づつ調べてみます。ただし、今回は平仄が知りたいので、その関係する部分のみを簡略して表記します。

一文字目の「行」を調べると次のようになっています。

(一)平声の記号(二)平声の記号(三)去声の記号(四)去声の記号

(一)は、「みち・道路」の意味。
(二)は、「ゆく・いく」の意味。
(三)は、「おこない」の意味。
(四)は、「ついで(順序)」の意味。

これは同じ漢字でも意味の違いによって四声が異なることを表しています。実際には、同じ平声でも「(一)陽韻」と「(二)庚韻」のように韻字の違いがあるのですが、今回は平仄についてのみ取り上げます。「韻」については後の記事で取り上げる予定ですが、概略は【平水韻について独習してみた】の記事を読んでみてください。

さて、このように意味の違いで平字と仄字の使い分けがある場合は、やはり意味が重要になってきます。そこで「行」は「行き尽くす」ですから、(二)の意味になるので「平字」であることがわかります。

では、「行」以降の各漢字を調べていきます。

「盡」は 上声の記号
「江」は 平声の記号
「南」は 平声の記号
「數」は (一)上声の記号 (二)去声の記号 (三)(四)(五)入声の記号
「十」は 入声の記号
改訂新版では、「平声」の記号も記載されていますが今は無視します(理由については別の機会に説明します)。
「程」は 平声の記号
「曉」は 上声の記号
「風」は (一)平声の記号 (二)去声の記号
「殘」は 平声の記号
「月」は 入声の記号
「入」は 入声の記号
「華」は (一)平声の記号 (二)去声の記号
「淸」は 平声の記号
「朝」は (一)(二)平声の記号
「元」は 平声の記号
「閣」は 入声の記号
「上」は (一)去声の記号 (二)上声の記号
「西」は 平声の記号
「急」は 入声の記号
「都」は 平声の記号
「長」は (一)上声の記号 (二)平声の記号 (三)去声の記号
「楊」は 平声の記号
「作」は (一)入声の記号 (二)去声の記号 (三)上声の記号または 去声の記号
「雨」は (一)上声の記号 (二)去声の記号
「聲」は 平声の記号


この中で「平字」と「仄字」の両方が記載されているのは「風」「華」「長」の三文字です。それ以外の文字は四声が複数記載れていても必ず「平字」または「仄字」のいづれかに分類されます。

さて、三文字について意味を調べると「風」を「かぜ」の意味で使う場合は「平字」、「華」は「華山という地名」の意味以外は「平字」、「長」を「ながい」の意味で使う場合は「平字」となっています。

そこで以上のことをまとめて「平字」を「○」、「仄字」を「●」で表現すると次のようになります。

さて、漢和辞典で平仄を調べることは、結構大変そうですが、ちょっとしたコツがわかって、漢和辞典を引くことに慣れれば、段々と平仄も覚えることができます。

まずは、頑張って色々な詩の平仄を調べてみましょう。


では、次の記事(実習)で、また、お会いしましょう。
失礼します。

投稿者: 滄洲

趣味で漢詩を作ったり、三体詩や聯珠詩格などの詩集、論語や老子などの漢文を読んだりしている「滄洲」と言います。 よろしくお願いします。