漢詩作法入門講座

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豪句雄句幷敏捷 - 詩學逢原

豪句、雄句、幷に敏捷

右のとおり字眼を錬ることは、平常の時に作る詩のことなり。若し座に臨みて撃鉢刻燭對客揮(鉢を撃ち 燭を刻み、客に対して毫を揮うに)に至りては、字眼を錬り、苦吟しては、詩情局促して、一篇を終えがたく、縱え出來ても、詩體蹇澁(けんじゅう)にて、流暢ならず、一座の美觀をかく。故に此の時は、詩をかさより作りかけ、さのみ面白き幽玄を求めず、豪放に作り出すことを習うべし。其時は彼和風の句もむつかしく無く、「和風吹細柳、澹月在梅花(和風 細柳を吹き、澹月 梅花に在り)」などと、あらくましく作り出すべし。李嶠(りきょう)が一夜百首、皆此の習を用いたり。其の鳳の詩に、「丹山有仙鶴其名曰鳳皇(丹山に仙鶴有り、其の名を鳳皇と曰う)」と作り、海の詩に、「三山巨龞湧、萬里大鵬飛(三山 巨龞(きょごう)湧き、萬里 大鵬飛ぶ)」と作る。かく作れば、詩も早く出來句ももつれなく清麗壯健、甚だ一座を驚かす。此の心要をよく心得て、兼々ひたと稽古すべし。作りつけずしては、是又ならぬ者なり。

又平常の時、靜かに作るとも、題により、縱え面白く置くべき字をも、郤てあらくましく、作意を用いざるを好しとす。或は江海の詩、天地、日月、風雷、軍旅等の題は、皆強き題なり。此類の詩は豪放雄渾(ゆうこん)に作り出し、彼面白き小刀細工の字は嫌うべし。右唐人應制の作、幷に李嶠が百咏の内、右の如き題の詩、子美が錦江の詩、白帝城中の詩、王維が觀獵の詩等の諸作、皆此の格なり。若し一例に心得、幽玄を求めば、右の如き題の時、詩甚だ卑弱(ひよわ)にして見るに足らず。又遊宴、閨情、山林等の詩をかく心得ては、疎麁(そり)になりて、甚だ淺俗に至る。常によくよく學びて覺ゆべし。

但遊宴、閨情、山林、閑適の題にても、前に云う如き、一座敏捷を專とする時は、江海、風雷等の如く、豪爽の句はなさずとも、清麗流暢に入り組みもつれざる樣に作るべし。

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