漢詩作法入門講座

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三体詩-七言絶句-虛接(2) - 漢詩の鑑賞

虛接

【原文】

周弼曰。謂第三句以虛語接前二句也。亦有語雖實而意虛者。於承接之間。略加轉換。反與正相依。順與逆相應。一呼一喚。宮商自諧。如用千鈞之力。而不見形迹。繹而尋之有餘味矣。

【読み方】

虚接(きょせつ)

周弼(しゅうひつ)(いわ)く、第三句(だいさんく)虚語(きょご)を以(もっ)て前二句(ぜんにく)に接(せっ)するを謂(い)うなり。亦(また)、語(ご)は実(じつ)なりと雖(いえど)も意(い)は虚(きょ)なる者(もの)(あ)り。承接(しょうせつ)の間(あいだ)に於(お)いて、略(ほぼ)転換(てんかん)を加(くわ)え、反(はん)と正(せい)と相(あい)(よ)り、順(じゅん)と逆(ぎゃく)と相(あい)(おう)じ、一呼(いっこ)一喚(いっかん)、宮商(きゅうしょう)(おの)ずから諧(かな)い、千鈞(せんきん)の力(ちから)を用(もち)うるが如(ごと)くにして、形迹(けいせき)を見(あら)わさず、繹(のべ)て之(これ)を尋(たず)ぬれば余味(よみ)(あ)り。

念昔遊

原詩

「念昔遊(杜牧)李白題詩水西寺。古木囘巖樓閣風。半醒半醉遊三日。紅白花開烟雨中。」

【作者】

杜牧(とぼく)=(803〜853)。晩唐の詩人。字は牧之。号は樊川。

【詩形】

七言絶句 仄起式 上平声東韻
西

【読み方】

昔遊(せきゆう)を念(おも)

李白(りはく) 詩(し)を題(だい)す 水西寺(すいせいじ)。古木(こぼく) 回巌(かいがん) 楼閣(ろうかく)の風(かぜ)

半醒(はんせい) 半酔(はんすい) 遊(あそ)ぶこと三日(さんじつ)。紅白(こうはく)の花(はな)は開(ひら)く 煙雨(えんう)の中(うち)

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【語 釈】

昔遊=昔、訪れた所、あるいは旅。李白=李白(りはく)、701年-762年。盛唐の詩人。字は太白、号は青蓮居士。「詩仙」と称される。題詩水西寺=宣城市涇県の水西山にあった古刹。李白が晩年、「天宮水西寺,雲脚照東郭。清湍鳴回溪,緑水繞飛閣。(天宮 水西寺、雲脚 東郭を照らす。清湍 回溪に鳴り、緑水 飛閣を繞る。)」と歌った。古木囘巖=寺の周りの古き木々や岩々をいったものか。紅白花開=紅は酔字、白は醒字に対応させたもの。

「三体詩評釈(野口寧齋著)」に「此の題、樊川集に録するもの三首、皆昔遊を追憶して、乃ち之を筆するものにして必ずしも一処に限る者にあらざるなり。此の詩は水西寺の遊を懐うものなり。寺は宣州に在り。李白曽て之に遊びて云く『天宮水西寺,雲脚照東郭。清湍鳴回溪,緑水繞飛閣。』、又云く『檻外一條溪,幾回流碎月。』題壁の墨痕鮮やかなるが故に、遂に挂額して李白題詩と云う。其の詩を見て幽邃紺園たることを知るべし。此の詩白の再来を以て自ら任じて其の牙後の恵を拾うを屑とせず、渓流潺湲たるは全く之を白の詩に委ね更に古木回巌の辺に向かって吟思を傾出し去る。其の意を用いる所のものは、即ち其の地歩を占むるものなるを見る。而して詩の飄逸なるは則ち大いに白也に似たり、亦奇なりというべし。」とあり。

寄友

原詩

「寄友(李羣玉)野水晴山雪後時。獨行村路更相思。無因一向溪橋醉。處處寒梅映酒旗。」

【作者】

李群玉(りぐんぎょく)=(808〜862)。中唐から晩唐期の詩人。字は、文山。

【詩形】

七言絶句 仄起式 上平声支韻

【読み方】

(とも)に寄(よ)

野水(やすい) 晴山(せいざん) 雪後(せつご)の時(とき)。独(ひと)り村路(そんろ)を行(ゆ)きて 更(さら)に相(あい)(おも)う。

(ひと)たび渓橋(けいきょう)に向(お)いて 酔(よ)うに因(よし)(な)く。処処(しょしょ)の寒梅(かんばい) 酒旗(しゅき)に映(えい)ず。

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【語 釈】

野水=野を流れる小川。晴山=雨後や雪後の山。雪後時=雪がやんだ時。村路=村の小道。無因=原因がない。きっかけがない。溪橋=谷川にかかる橋。處處=あちらこちら。寒梅=寒中に咲く梅。早咲きの梅。酒旗=酒屋の目印の旗、のぼり。

「三体詩評釈(野口寧齋著)」に「『處處寒梅映酒旗』、これ杖頭の銭を擲つの時なり。而して無因という。これ詩に曲折を貴ぶが為なり。何に由りてか一酔するに因無きや、これ同心の『野水晴山雪後時』を共にするもの無きが為なり。竹外の春店、吟じて此の首に至らば、亦何ぞ人をして魂消せしめざらんや。」とあり。

經賈島墓

原詩

「經賈島墓(鄭谷)水繞荒墳縣路斜。耕人訝我久咨嗟。重來兼恐無尋處。落日風吹皷子花。」

【作者】

鄭谷(ていこく)=(849〜911)。晩唐の詩人。字は守愚。

【詩形】

七言絶句 仄起式 下平声麻韻

【読み方】

賈島(かとう)が墓(はか)を経(ふ)

(みず)は荒墳(こうふん)を繞(めぐ)って 県路(けんろ)(なな)めなり。耕人(こうじん) 我(わ)が久(ひさ)しく咨嗟(しさ)するを訝(いぶか)る。

重来(ちょうらい) 兼(か)ねて恐(おそ)る 尋(たず)ねる処(ところ)(な)きを。落日(らくじつ) 風(かぜ)は吹(ふ)く 皷子(こし)の花(はな)

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【語 釈】

經賈島墓=經は立ち寄る。賈島は、中唐の詩人。字は浪仙、または閬仙。注に、墓は遂州長江県(現在の四川省遂寧市あたり)にあるという。=小川。荒墳=荒れた墓。耕人=畑を耕す人。咨嗟=ため息をついて嘆くこと。重來=再び尋ね来るとき。兼恐=再び尋ねたときを心配する。皷子花=鼓子花、ひるがおの花。皷字は俗字。

「三体詩評釈(野口寧齋著)」に「路傍の荒墳、一代の作家を埋む。これ詩人の感涙を濺ぐ所なり。而して耕人の眼中より見て、更に其の低回遅留の情を尽くす。以為らく今日已に此の如し、明日遂に何如ぞや、思うて此に到れば裏懐裂くるが如き者有るなり。重来の日、墓を併せて尋ぬる処無からんを恐ると云うは、蓋し耕人が名士の墳樽を知らざるを以てなり。」とあり。

修史亭

原詩

「修史亭(司空圖)烏紗巾上是青天。檢束酬知四十年。誰料平生臂鷹手。挑燈自送佛前錢。」

【作者】

司空図(しくうと)=(837〜908)。晩唐の詩人。字は表聖。

【詩形】

七言絶句 平起式 下平声先韻

【読み方】

修史亭(しゅうしてい)

烏紗巾上(うさきんじょう) 是(これ)青天(せいてん)、検束(けんそく)して 知(ち)に酬(むく)ゆ 四十年(しじゅうねん)

(たれ)か料(はか)らん 平生(へいせい) 鷹(たか)を臂(ひじ)にせし手(て)、灯(とう)を挑(かか)げて 自(みずか)ら仏前(ぶつぜん)の銭(せん)を送(おく)らんとは。

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【語 釈】

修史亭=司空図の亭の名。司空図が山居記に「太悲の像を刻み手て亭を構う。其の右を擬綸といい、其の著す所を志すなり。擬綸の右の亭を修史といい、職むる所を勖むなり」とあり。烏紗巾=隠者のかぶる黒い頭巾。烏巾に同じ。青天=あおぞら。檢束=自分の身を引き締めること。酬知=知は、知己。誰料=反語。料は推量する、予測すること。平生=日ごろ。臂鷹手=四十年の苦労を形容した語。佛前錢=賽銭のこと。

「三体詩評釈(野口寧齋著)」に「図の王官谷に隠るるや、大悲像を刻し、亭を構う。修史は其の右の者なり。此の詩は閑日に懐を遺るものにして亭名に関するものにあらざるなり。謂う、彼の蒼々たる者頭上に在り。此の身を検束して君王に事うること已に四十年、是れ其の宿志なり。而して時は我に与せずして、俊鷹を臂するの手、今や空しく寒燈を挑ぐる有るのみ。徒に仏前の銭を送る有るのみ、誰料の二字を用いて前意を一翻し、転悲噎胸を填め、人をして惻然として聴を動かさしむ。」とあり。

答韋丹

原詩

「答韋丹(僧靈徹)年老心閑無外事。麻衣草坐亦容身。相逢盡道休官去。林下何曾見一人。」

【作者】

霊徹(靈澈)(れいてつ)=(746〜816)。盛唐から中唐代の僧。俗姓は湯、字は源澄。

【詩形】

七言絶句 仄起式 上平声真韻

【読み方】

韋丹(いたん)に答(こた)

(とし)(お)い 心(こころ)(しず)かにして 外事(がいじ)(な)く。麻衣(まい) 草坐(そうざ) 亦(また)(み)を容(い)る。

(あい)(お)うて 尽(ことごと)く道(い)う 官(かん)を休(や)めて去(さ)らんと。林下(りんか) 何(なん)ぞ曽(かつ)て 一人(いちにん)を見(み)ん。

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【語 釈】

答韋丹=韋丹、字は文明。韋丹が霊徹に寄せた詩に答えた詩。韋丹の詩は、次のとおりである。「『思歸寄東林澈上人』王事紛紛無暇日、浮生冉冉只如雲。已爲平子歸休計、五老巖前必共聞。(『帰らんと思い、東林の澈上人に寄す』王事 紛紛として 暇日無く、浮生 冉冉として 只雲の如し。已に 平子 帰休の計を為し、五老巌前 必ず共に聞かん。)」。外事=外部に関すること。ここでは俗世間のできごとをいう。麻衣草坐=三衣一鉢、樹下石上などと同じように仏道の修行者をいう。何曾=何は反語。未だ曾て一人も見たことがないの意。

「三体詩評釈(野口寧齋著)」に「徹曾て匡廬七咏を以て丹に示す。丹因って思帰の絶句を賦して、之に酬いて云く『王事紛紛無暇日、浮生冉冉只如雲。已爲平子歸休計、五老巖前必共聞。』、此の詩は則ち更に丹に寄せて其の帰を促すものにして、之を識るに非ざるなり。之を勧むるなり。而して丹遂に帰ることを得ずして、罪を得て憂死す。偶々以て之を刺るに該当するのみ。」とあり。

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