漢詩作法入門講座

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老子 第五十五章〜第六十三章

『老子』は、『老子道徳経』あるいは『道徳経』とも呼ばれ、「老子」という人物が書いたとされる書であり、『荘子』と並ぶ道家の代表的書物である。著者の「老子」は、中国春秋時代、楚の思想家。姓名を李耳、字は耼といい、「老子」は、その尊称と言われている。不明な部分も多く、実在が疑問視されることもある。三清の一人である太上老君の神名を持つ。

本Webページでは、原文と訓読のみを掲載(素読)します。詳しい解説については、多くの書籍が市販されていますので、そちらの方をお読みください。

また、格言集や名言集などによく掲載されている部分を強調表示しました。

第五十五章

含德之厚,比於赤子。毒蟲不螫、猛獸不據,攫鳥不搏。骨弱筋柔而握固。未知牝牡之合而䘒作,精之至也。終日號而不嗄,和之至也。知和曰常,知常曰明,益生曰祥。心使氣曰強。物壯則老,謂之不道,不道早已。

含徳(がんとく)の厚(あつ)きは、赤子(せきし)に比(ひ)す。毒虫(どくむし)も螫(さ)さず,猛獣(もうじゅう)も拠(よ)らず、攫鳥(かくちょう)も搏(う)たず。骨(ほね)(よわ)く筋(きん)(やわ)らかけれども而(しか)も握(にぎ)ること固(かた)し。未(いま)だ牝牡(ひんぽ)の合(あ)うことを知(し)らず、而(しこう)して䘒(すい)(おこ)るは、精(せい)の至(いた)りなり。終日(しゅうじつ)(な)けども而(しか)も嗄(か)れず,和(わ)の至(いた)りなり。和(わ)を知(し)るを常(つね)と曰(い)い、常(つね)を知(し)るを明(めい)と曰(い)い、生(せい)を益(ま)すを祥(しょう)と曰(い)い、心(こころ)(き)を使(つか)うを強(きょう)と曰(い)う。物(もの)(さか)んなれば則(すなわ)ち老(お)い、之(これ)を不動(ふどう)と謂(い)い、不動(ふどう)は早(はや)く已(や)む。

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第五十六章

知者不言、言者不知。塞其兌、閉其門、挫其鋭、解其紛、和其光、同其塵。是謂玄同。故不可得而親、亦不可得而疏、不可得而利、亦不可得而害、不可得而貴、亦不可得而賤。故爲天下貴。

(し)る者(もの)は言(い)わず、言(い)う者(もの)は知(し)らず。(そ)の兌(だ)を塞(ふさ)ぎ、其(そ)の門(もん)を閉(と)じ、(そ)の鋭(えい)を挫(くじ)き、其(そ)の紛(ふん)を解(と)き、其(そ)の光(ひかり)を和(やわ)らげ、其(そ)の塵(ちり)を同(おな)じくす。(こ)れを玄同(げんどう)と謂(い)う。故(ゆえ)に得(え)て親(した)しむ可(べ)からず、亦(また)(え)て疏(うと)んず可(べ)からず、得(え)て利(り)す可(べ)からず、亦(また)(え)て害(がい)す可(べ)からず、(え)て貴(たっと)ぶ可(べ)からず、亦(また)(え)て賎(いや)しむ可(べ)からず。(ゆえ)に天下(てんか)の貴(き)と為(な)る。

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第五十七章

以正治國、以奇用兵、以無事取天下。吾何以知其然哉。以此。夫天下多忌諱、而民彌貧。民多利器、國家滋昏。民多技巧、奇物滋起。法令滋彰、盗賊多有。故聖人云、我無爲而民自化。我好靜而民自正。我無事而民自富。我無欲而民自樸。

(せい)を以(もっ)て国(くに)を治(おさ)、奇(き)を以(もっ)て兵(へい)を用(もち)い、(こと)(な)きを以(もっ)て天下(てんか)を取(と)る。(われ)(なに)を以(もっ)て其(そ)の然(しか)るを知(し)る哉(や)、此(こ)れを以(もっ)てなり。(そ)れ天下(てんか)忌諱(きい)(おお)くして、民(たみ)(いよいよ)(まず)しく、民(たみ)利器(りき)(おお)くして、国家(こっか)(ますます)(くら)く、(たみ)技巧(ぎこう)(おお)くして、奇物(きぶつ)(ますます)(お)こり、法令(ほうれい)(ますます)(あきら)かにして、盗賊(とうぞく)(おお)く有(あ)り。故(ゆえ)に聖人(せいじん)に云(いわ)く、我(われ)無為(むい)にして民(たみ)(おの)ずから化(か)し、我(われ)(せい)を好(この)みて民(たみ)(おの)ずから正(ただ)しく、我(われ)(こと)(な)くして民(たみ)(おの)ずから富(と)み、我(われ)無欲(むよく)にして民(たみ)(おの)ずから樸(ぼく)なりと。

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第五十八章

其政悶悶、其民醇醇。其政察察、其民缺缺。禍兮福之所倚、福兮禍之所伏、孰知其極。其無正邪、正復爲奇、善復爲妖。民之迷、其日固久矣。是以聖人方而不割、廉而不劌、直而不肆、光而不曜。

(そ)の政(まつりごと)悶悶(もんもん)たれば、其(そ)の民(たみ)醇醇(じゅんじゅん)たり。(そ)の政(まつりごと)察察(さつさつ)たれば、其(そ)の民(たみ)欠欠(けつけつ)たり。禍(わざわい)は福(ふく)の倚(よ)る所(ところ)、福(ふく)は禍(わざわい)の伏(ふく)する所(ところ)、孰(いず)れか其(そ)の極(きょく)を知(し)らん。其(そ)れ正(せい)(な)きか、正(せい)(ま)た奇(き)と為(な)り、善(ぜん)(ま)た妖(よう)と為(な)る。民(たみ)の迷(まよ)い、其(そ)の日(ひ)(まこと)に久(ひさ)し。是(ここ)を以(もっ)て聖人(せいじん)(ほう)にして割(さ)かず、廉(れん)にして劌(やぶ)らず、直(ちょく)にして肆(の)びず、(ひかり)にして耀(かがや)かず。

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五十九章

治人事天、莫如嗇。夫唯嗇、是謂早復。早復謂之重積德。重積德則無不克。無不克則莫知其極。莫知其極、可以有國。有國之母、可以長久。是謂深根固柢。長生久視之道。

(ひと)を治(おさ)め天(てん)に事(つか)えるは、嗇(しょう)に如(し)くは莫(な)し。(そ)れ唯(た)だ嗇(しょう)なり、是(これ)を早(はや)く復(かえ)ると謂(い)う。早(はや)く復(かえ)る之(これ)を重(かさ)ねて徳(とく)を積(つ)むと謂(い)う。重(かさ)ねて徳(とく)を積(つ)めば、則(すなわ)ち克(よ)くせざること無(な)し。克(よ)くせざること無(な)ければ、則(すなわ)ち其(そ)の極(きょく)を知(し)ること莫(な)し。其(そ)の極(きょく)を知(し)ること莫(な)ければ、以(もっ)て国(くに)を有(たも)つ可(べ)し。国(くに)を有(たも)つの母(はは)は、以(もっ)て長久(ちょうきゅう)なる可(べ)し。是(これ)を根(ね)を深(ふか)くし、柢(もと)を固(かた)くすと謂(い)う。長生(ちょうせい)久視(きゅうし)の道(みち)なり。

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第六十章

治大國、若烹小鮮。以道莅天下、其鬼不神。非其鬼不神、其神不傷人。非其神不傷人、聖人亦不傷人。夫兩不相傷。故德交歸焉。

大国(たいこく)を治(おさ)むるは、小鮮(しょうせん)を烹(に)るが若(ごと)し。(みち)を以(もっ)て天下(てんか)に莅(のぞ)めば、其(そ)の鬼(き)、神(しん)ならず。其(そ)の鬼(き)、神(しん)ならざるに非(あら)ず、其(そ)の神(しん)、人(ひと)を傷(やぶ)らず。其(そ)の神(しん)、人(ひと)を傷(やぶ)らざるに非(あら)ず、聖人(せいじん)(ま)た人(ひと)を傷(やぶ)らず。夫(そ)れ両(ふた)つながら相(あい)(やぶ)らず。故(ゆえ)に徳(とく)(こもごも)(き)す。

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第六十一章

大國者下流。天下之交、天下之牝。牝常以靜勝牡、以靜爲下。故大國以下小國、則取小國、小國以下大國、則取大國。故或下以取、或下而取。大國不過欲兼畜人、小國不過欲入事人。夫兩者各得其所欲。大者宜爲下。

大国(たいこく)は下流(かりゅう)なり。天下(てんか)の交(まじ)わるは、天下(てんか)の牝(ひん)なり。牝(ひん)は常(つね)に静(せい)を以(もっ)て牡(ぼ)に勝(か)ち、静(せい)を以(もっ)て下(しも)と為(な)る。故(ゆえ)に大国(たいこく)は以(もっ)て小国(しょうこく)に下(くだ)れば、則(すなわ)ち小国(しょうこく)を取(と)り、小国(しょうこく)は以(もっ)て大国(たいこく)に下(くだ)れば、則(すなわ)ち大国(たいこく)に取(と)らる。故(ゆえ)に或(あるい)は下(くだ)って以(もっ)て取(と)り、或(あるい)は下(くだ)って而(しか)して取(と)らる。大国(たいこく)は人(ひと)を兼(か)ね畜(やしな)わんと欲(ほっ)するに過(す)ぎず、小国(しょうこく)は入(い)りて人(ひと)に事(つか)えんと欲(ほっ)するに過(す)ぎず。夫(そ)れ両者(りょうしゃ)各々(おのおの)(そ)の欲(ほっ)する所(ところ)を得(え)れば、(だい)なる者(もの)は宜(よろ)しく下(しも)と為(な)るべし。

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第六十二章

道者萬物之奧。善人之寳、不善人之所保。美言可以市、尊行可以加人。人之不善、何棄之有。故立天子、置三公、雖有拱璧以先駟馬、不如坐進此道。古之所以貴此道者何。不曰求以得、有罪以免耶。故爲天下貴。

(みち)は万物(ばんぶつ)の奧(おう)、善人(ぜんにん)の宝(たから)なり、不善人(ふぜんにん)の保(たも)つ所(ところ)なり。美言(びげん)は以(もっ)て市(う)る可(べ)く、尊行(そんこう)は以(もっ)て人(ひと)に加(くわ)う可(べ)し。人(ひと)の不善(ふぜん)、何(なん)の之(これ)を棄(す)つることか有(あ)らん。故(ゆえ)に天子(てんし)を立(た)て、三公(さんこう)を置(お)き、拱璧(きょへき)(もっ)て駟馬(しば)に先(さき)んずること有(あ)りと雖(いえど)も、坐(ざ)して此(こ)の道(みち)を進(すす)むに如(し)かず。古(いにしえ)の此(こ)の道(みち)を貴(たっと)ぶ所以(ゆえん)は何(なん)ぞや。求(もと)めて以(もっ)て得(え)、罪(つみ)(あ)れども以(もっ)て免(まぬが)るると曰(い)わずや。故(ゆえ)に天下(てんか)の貴(き)と為(な)る。

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第六十三章

爲無爲、事無事、味無味。大小多少、報怨以德。圖難於其易、爲大於其細。天下難事必作於易、天下大事必作於細。是以聖人終不爲大、故能成其大。夫輕諾必寡信、多易必多難。是以聖人猶難之。故終無難。

無為(むい)を為(な)し、無事(ぶじ)を事(こと)とし、無味(むみ)を味(あじ)わい、小(しょう)を大(だい)とし少(すく)なきを多(おお)しとし、(うら)みに報(むく)いるに徳(とく)を以(もっ)てす。(かた)きを其(そ)の易(やす)きに図(はか)り、大(だい)を其(そ)の細(さい)に為(な)す。天下(てんか)の難事(なんじ)は必(かなら)ず易(やす)きより作(おこ)り、天下(てんか)の大事(だいじ)は必(かなら)ず細(さい)より作(おこ)る。是(これ)を以(もっ)聖人(せいじん)は終(つい)に大(だい)を為(な)さず、故(ゆえ)に能(よ)く其(そ)の大(だい)を成(な)す。(そ)れ軽諾(けいだく)は必(かなら)ず信(しん)(すくな)く、易(やす)きこと多(おお)ければ必(かなら)ず難(かた)きこと多(おお)し。是(これ)を以(もっ)て聖人(せいじん)(なお)(これ)を難(かた)しとす。故(ゆえ)に終(つい)に難(かた)きこと無(な)し。

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