漢詩作法入門講座

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老子 第四十六章〜第五十四章

『老子』は、『老子道徳経』あるいは『道徳経』とも呼ばれ、「老子」という人物が書いたとされる書であり、『荘子』と並ぶ道家の代表的書物である。著者の「老子」は、中国春秋時代、楚の思想家。姓名を李耳、字は耼といい、「老子」は、その尊称と言われている。不明な部分も多く、実在が疑問視されることもある。三清の一人である太上老君の神名を持つ。

本Webページでは、原文と訓読のみを掲載(素読)します。詳しい解説については、多くの書籍が市販されていますので、そちらの方をお読みください。

また、格言集や名言集などによく掲載されている部分を強調表示しました。

第四十六章

天下有道。郤走馬以糞。天下無道。戎馬生于郊。罪莫大于可欲。禍莫大于不知足。咎莫大欲得。故知足之足常足矣。

天下(てんか)(みち)(あ)れば、走馬(そうば)を却(しりぞ)けて以(もっ)て糞(ふん)す。天下(てんか)(みち)(な)ければ、戎馬(じゅうば)(こう)に生(しょう)ず。(つみ)は欲(ほっ)す可(べ)きより大(だい)なるは莫(な)く、(わざわい)は足(た)ることを知(し)らざるより大(だい)なるは莫(な)く、(とが)は得(え)んと欲(ほっ)するより大(だい)なるは莫(な)し。故(ゆえ)に足(た)るを知(し)るの足(た)るは常(つね)に足(た)る。

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第四十七章

不出戸。知天下。不窺牖。知天道。共出彌遠。其知彌少。是以聖人不行而知。不見而名。不爲而成。

(こ)を出(い)でずして、天下(てんか)を知(し)、牖(まど)を窺(うかが)わずして、天道(てんどう)を知(し)る。其(そ)の出(い)ずること弥(いよいよ)(とお)く、其(そ)の知(し)ること弥(いよいよ)(すく)なし。是(ここ)を以(もっ)て聖人(せいじん)は行(い)かずして知(し)り、見(み)ずして名(な)づけ、為(な)さずして成(な)る。

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第四十八章

爲學日益、爲道日損。損之又損、以至於無爲。無爲而無不爲。故取天下常以無事。及其有事、不足以取天下。

(がく)を為(な)せば日(ひ)に益(ま)し、道(みち)を為(な)せば日(ひ)に損(そん)す。(これ)を損(そん)して又(また)(そん)し、以(もっ)て無為(むい)に至(いた)る。無為(むい)にして而(しこう)して為(な)さざる無(な)し。故(ゆえ)に天下(てんか)を取(と)るは常(つね)に無事(ぶじ)を以(もっ)てす。其(その)の有事(ゆうじ)に及(およ)びては、以(もっ)て天下(てんか)を取(と)るに足(た)らず。

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第四十九章

聖人無常心。以百姓心爲心。善者吾善之、不善者吾亦善之、得善。信者吾信之、不信者吾亦信之、得信。聖人在天下、歙歙爲天下渾其心。百姓皆注其耳目。聖人皆孩之。

聖人(せいじん)は常(つね)の心(こころ)(な)し、百姓(ひゃくせい)の心(こころ)を以(もっ)て心(こころ)と為(な)す。善(ぜん)なる者(もの)は吾(われ)も之(これ)を善(ぜん)とし、不善(ふぜん)なる者(もの)も吾(われ)は亦(また)(これ)を善(ぜん)とす、善(ぜん)を得(え)たればなり。(しん)なる者(もの)は吾(われ)も之(これ)を信(しん)とし、不信(ふしん)なる者(もの)も吾(われ)は亦(また)(これ)を信(しん)とす、信(しん)を得(え)たればなり。聖人(せいじん)の天下(てんか)に在(あ)るや、歙歙(きゅうきゅう)として天下(てんか)の為(ため)に其(そ)の心(こころ)を渾(にご)す。百姓(ひゃくせい)は皆(みな)(そ)の耳目(じもく)を注(そそぐ)ぐ、聖人(せいじん)は皆(みな)(これ)を孩(がい)にす。

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第五十章

出生入死。生之徒十有三、死之徒十有三。人之生、動之死地者。亦十有三。夫何故。以其生生之厚。蓋聞、善攝生者、陸行不遇兕虎、入軍不被甲兵。兕無所投其角、虎無所措其爪、兵無所容其刃。夫何故。以其無死地也。

(せい)を出(い)でて死(し)に入(い)る。生(せい)の徒(と)(じゅう)に三(さん)(あ)り、死(し)の徒(と)(じゅう)に三(さん)(あ)り、人(ひと)の生(い)くべくして、動(うご)きて死地(しち)に之(ゆ)く者(もの)、亦(また)(じゅう)に三(さん)(あ)り。夫(そ)れ何(なん)の故(ゆえ)ぞ。其(そ)の生(せい)を生(せい)とするの厚(あつ)きを以(もっ)てなり。蓋(けだ)し聞(き)く、(よ)く生(せい)を摂(せっ)する者(もの)は、陸行(りくこう)して兕虎(じこ)に遇(あ)わず、(ぐん)に入(い)りて甲兵(こうへい)を被(こうむ)らず。兕(じ)も其(そ)の角(つの)を投(とう)ずる所(ところ)(な)く、虎(とら)も其(そ)の爪(つめ)を措(お)く所(ところ)(な)く、兵(へい)も其(そ)の刃(やいば)を容(い)るる所(ところ)(な)しと。夫(そ)れ何(なん)の故(ゆえ)ぞ。其(そ)の死地(しち)(な)きを以(もっ)てなり。

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第五十一章

道生之、德畜之、物形之、勢成之。是以萬物、莫不尊道而貴徳。道之尊、徳之貴、夫莫之命而常自然。故道生之、德畜之、長之、育之、成之、熟之、養之、覆之。生而不有、爲而不恃、長而不宰。是謂玄德。

(みち)(これ)を生(しょう)じ、徳(とく)(これ)を畜(やしな)い、物(もの)(これ)を形(かたち)し、勢(いきお)い之(これ)を成(な)す。是(これ)を以(もっ)て万物(ばんぶつ)は、道(みち)を尊(たっと)びて而(しこう)して徳(とく)を貴(たっと)ばざるは莫(な)し。道(みち)の尊(たっと)きと、徳(とく)の貴(たっと)きとは、夫(そ)れ之(これ)を命(めい)ずる莫(な)くして而(しこう)して常(つね)に自然(しぜん)なり。故(ゆえ)に道(みち)(これ)を生(しょう)じ、徳(とく)(これ)を畜(やしな)い、之(これ)を長(ちょう)じ、之(これ)を育(そだ)て、之(これ)を成(な)し、之(これ)を熟(じゅく)し、之(これ)を養(やしな)い、之(これ)を覆(おお)う。(しょう)じて有(ゆう)せず、為(な)して恃(たの)まず、(ちょう)じて宰(さい)せず、是(これ)を玄徳(げんとく)と謂(い)う。

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第五十二章

天下有始、以爲天下母。既得其母、以知其子、既知其子、復守其母、没身不殆。塞其兌、閉其門、終身不勤。開其兌、濟其事、終身不救。見小曰明、守柔曰強。用其光、復歸其明、無遺身殃。是謂襲常。

天下(てんか)(はじ)め有(あ)り、以(もっ)て天下(てんか)の母(はは)と為(な)る。既(すで)に其(そ)の母(はは)を得(え)て、以(もっ)て其(そ)の子(し)を知(し)り、既(すで)に其(そ)の子(こ)を知(し)りて、復(また)(そ)の母(はは)を守(まも)れば、身(み)を没(お)えるまで殆(あやう)からず。(そ)の兌(だ)を塞(ふさ)ぎ、其(そ)の門(もん)を閉(と)ずれば、(み)を終(お)えるまで勤(つと)めず。其(そ)の兌(だ)を開(ひら)き、其(そ)の事(こと)を済(な)せば、身(み)を終(お)えるまで救(すく)われず。小(しょう)を見(み)るを明(めい)と曰(い)い、柔(じゅう)を守(まも)るを強(きょう)と曰(い)う。其(そ)の光(ひかり)を用(もち)いて、其(そ)の明(めい)に復帰(ふっき)すれば、身(み)の殃(わざわい)を遺(のこ)すこと無(な)し。是(これ)を襲常(しゅうじょう)と謂(い)う。

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第五十三章

使我介然有知、行於大道、唯施是畏。大道甚夷、而民好徑。朝甚除、田甚蕪、倉甚虛、服文綵、帶利劔、厭飮食、財貨有餘。是謂盗夸。非道哉。

(われ)をして介然(かいぜん)として知(し)る有(あ)らしめば、大道(たいどう)を行(おこな)いて、唯(ただ)(ほどこ)すを是(こ)れ畏(おそ)る。大道(たいどう)は甚(はなは)だ夷(たい)らかにして、而(しこう)して民(たみ)は径(こみち)を好(この)む。(ちょう)(はなは)だ除(じょ)すれば、田(た)(はなは)だ蕪(あ)れ、倉(くら)(はなは)だ虚(むな)し。文綵(ぶんさい)を服(ふく)し、利剣(りけん)を帯(お)び、飲食(いんしょく)に厭(あ)き、財貨(ざいか)(あま)り有(あ)り。是(こ)れを盗夸(とうこ)と謂(い)う。道(みち)に非(あら)ざる哉(かな)

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第五十四章

善建者不抜、善抱者不脱。子孫以祭祀不輟。修之於身、其德乃眞。修之於家、其德乃餘。修之於郷、其德乃長。修之於國、其德乃豐。修之於天下、其德乃普。故以身觀身、以家觀家、以郷觀郷、以國觀國、以天下觀天下。吾何以知天下然哉、以此。

(よ)く建(た)つ者(もの)は抜(ぬ)けず、善(よ)く抱(いだ)く者(もの)は脱(だっ)せず。子孫(しそん)(もっ)て祭祀(さいし)して輟(やま)ず。之(こ)を身(み)に修(おさ)むれば、其(そ)の徳(とく)(すなわ)ち真(しん)なり。之(これ)を家(いえ)に修(おさ)むれば、其(そ)の徳(とく)(すなわ)ち余(あま)りあり。之(これ)を郷(きょう)に修(おさ)むれば、其(そ)の徳(とく)(すなわ)ち長(なが)し。之(これ)を国(くに)に修(おさ)むれば、其(そ)の徳(とく)(すなわ)ち豊(ゆたか)なり。之(これ)を天下(てんか)に修(おさ)むれば、其(そ)の徳(とく)(すなわ)ち普(あまね)し。故(ゆえ)に身(み)を以(もっ)て身(み)を観(み)、家(いえ)を以(もっ)て家(いえ)を観(み)、郷(きょう)を以(もっ)て郷(きょう)を観(み)、国(くに)を以(もっ)て国(くに)を観(み)、天下(てんか)を以(もっ)て天下(てんか)を観(み)る。吾(われ)(なに)を以(もっ)て天下(てんか)の然(しか)るを知(し)る哉(や)、此(これ)を以(もっ)てなり。

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