漢詩作法入門講座

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老子 第三十八章〜第四十五章

『老子』は、『老子道徳経』あるいは『道徳経』とも呼ばれ、「老子」という人物が書いたとされる書であり、『荘子』と並ぶ道家の代表的書物である。著者の「老子」は、中国春秋時代、楚の思想家。姓名を李耳、字は耼といい、「老子」は、その尊称と言われている。不明な部分も多く、実在が疑問視されることもある。三清の一人である太上老君の神名を持つ。

本Webページでは、原文と訓読のみを掲載(素読)します。詳しい解説については、多くの書籍が市販されていますので、そちらの方をお読みください。

また、格言集や名言集などによく掲載されている部分を強調表示しました。

第三十八章

上德不德。是以有德。下德不失德。是以無徳。上德無爲而無以爲。下德爲之而有以爲。上仁爲之而無以爲。上義爲之而有以爲。上禮爲之而莫之應。則攘臂而扔之。故失道而後德。失徳而後仁。失仁而後義。失義而後禮。夫禮者。忠信之薄。而亂之首也。前識者。道之華。而愚之始也。是以大丈夫處其厚不居其薄。處其實不居其華。故去彼取此。

上徳(じょうとく)は徳(とく)とせず、是(ここ)を以(もっ)て徳(とく)(あ)り。下徳(かとく)は徳(とく)を失(うしな)わず、是(ここ)を以(もっ)て徳(とく)(な)し。上徳(じょうとく)は為(な)すこと無(な)くして以(もっ)て為(な)すこと無(な)く、下徳(かとく)は之(これ)を為(な)して以(もっ)て為(な)すこと有(あ)り。上仁(じょうじん)は之(これ)を為(な)して以(もっ)て為(な)すこと無(な)く、上義(じょうぎ)は之(これ)を為(な)して以(もっ)て為(な)すこと有(あ)り。上礼(じょうれい)は之(これ)を為(な)して之(これ)に応(おう)ずること莫(な)ければ、則(すなわ)ち臂(ひじ)を攘(かか)げて之(これ)を扔(ひ)く。故(ゆえ)に道(みち)を失(うしな)って後(のち)に徳(とく)あり、徳(とく)を失(うしな)って後(のち)に仁(じん)あり、仁(じん)を失(うしな)って後(のち)に義(ぎ)あり、義(ぎ)を失(うしな)って後(のち)に礼(れい)あり。(そ)れ礼(れい)は、忠信(ちゅうしん)の薄(うす)きにして乱(らん)の首(はじめ)なり。前識(ぜんしき)は、道(みち)の華(か)にして愚(ぐ)の始(はじ)めなり。(ここ)を以(もっ)て大丈夫(だいじょうぶ)は其(そ)の厚(あつ)きに処(お)りて其(そ)の薄(うす)きに居(お)らず、其(そ)の実(じつ)に処(お)りて其(そ)の華(か)に居(お)らず。故(ゆえ)に彼(かれ)を去(さ)って此(こ)れを取(と)る。

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第三十九章

昔之得一者。天得一以清。地得一以寧。神得一以靈。谷得一以盈。萬物得一以生。侯王得一以爲天下貞。其致之一也。天無以清。將恐裂。地無以寧。將恐發。神無以靈。將恐歇。谷無以盈。將恐竭。萬物無以生。將恐滅。侯王無以貞。而貴高。將恐蹷(蹶)。故貴以賤爲本。高以下爲本。是以侯王自謂孤寡不穀。此其以賤爲本耶。非乎。故致數譽無譽。不欲琭琭如玉。落落如石。

(はじめ)の一(いつ)を得(え)る者(もの)は、(てん)は一(いつ)を得(え)て以(もっ)て清(きよ)く、地(ち)は一(いつ)を得(え)て以(もっ)て寧(やす)、神(しん)は一(いつ)を得(え)て以(もっ)て霊(れい)、谷(たに)は一(いつ)を得(え)て以(もっ)て盈(み)ち、万物(ばんぶつ)は一(いつ)を得(え)て以(もっ)て生(しょう)じ、侯王(こうおう)は一(いつ)を得(え)て以(もっ)て天下(てんか)の貞(てい)と為(な)る。其(そ)の之(これ)を致(いた)すは一(いつ)なり。天(てん)(もっ)て清(きよ)きこと無(な)ければ、将(まさ)に裂(さ)けんことを恐(おそ)れ、地(ち)(もっ)て寧(やす)きことなければ、将(まさ)に発(うご)かんことを恐(おそ)れ、神(しん)(もっ)て霊(れい)(な)ければ、将(まさ)に歇(や)まんことを恐(おそ)れ、谷(たに)(もっ)て盈(み)つること無(な)ければ、将(まさ)に竭(つ)きんことを恐(おそ)れ、万物(ばんぶつ)(もっ)て生(しょう)ずること無(な)ければ、将(まさ)に滅(ほろ)びんことを恐(おそ)れ、侯王(こうおう)(もっ)て貞(てい)たること無(な)くして貴高(きこう)なれば、将(まさ)に蹶(くつが)えらんことを恐(おそ)る。故(ゆえ)に貴(たっと)きは賎(いや)しきを以(もっ)て本(もと)と為(な)し、高(たか)きは下(ひく)きを以(もっ)て本(もと)と為(な)す。是(こ)れを以(もっ)て侯王(こうおう)(みずか)ら孤寡(こか)不穀(ふこく)と謂(い)う。此(こ)れ其(そ)の賎(いや)しきを以(もっ)て本(もと)と為(な)すか、非(ひ)か。故(ゆえ)に誉(よ)を数(かぞ)えることを致(いた)せば誉(ほま)れ無(な)し。琭琭(ろくろく)として玉(たま)の如(ごと)く、落落(らくらく)として石(いし)の如(ごと)くなることを欲(ほっ)せず。

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第四十章

反者道之動。弱者道之用。天下萬物生於有。有生於無。

(はん)は道(みち)の動(どう)、弱(じゃく)は道(みち)の用(よう)なり。天下(てんか)万物(ばんぶつ)は有(う)より生(しょう)じ、有(う)は無(む)より生(しょう)ず。

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第四十一章

上士聞道。勤而行之。中士聞道。若存若亡。下士聞道。大笑之。不笑不足以爲道。故建言有之。明道若昧。進道若退。夷道若纇。上德若谷。太白若辱。廣德若不足。建德若偸。質眞若渝。大方無隅。大器晩成。大音希聲。大象無形。道隱無名。夫唯道善貸且成。

上士(じょうし)は道(みち)を聞(き)きて、而(しこう)して勤(つと)めて之(これ)を行(おこな)う。中士(ちゅうし)は道(みち)を聞(き)きて、存(そん)するが若(ごと)く、亡(ぼう)するが若(ごと)し。下士(かし)は道(みち)を聞(き)きて、大(おお)いに之(これ)を笑(わら)う。笑(わら)わざれば以(もっ)て道(みち)と為(な)すに足(た)らず。故(ゆえ)に建言(けんげん)に之(これ)(あ)り。明道(めいどう)は昧(くら)きが若(ごと)く、進道(しんどう)は退(しりぞ)くが若(ごと)く、夷道(いどう)は纇(らい)なるが若(ごと)く、上徳(じょうとく)は谷(たに)の若(ごと)く、太白(たいはく)は辱(けが)れたるが若(ごと)く、広徳(こうとく)は足(た)らざるが若(ごと)く、建徳(けんとく)は偸(ぬす)むが若(ごと)く、質真(しつしん)は渝(かわ)るが若(ごと)し。大方(たいほう)は隅(ぐう)(な)し。大器(たいき)は晩成(ばんせい)す。大音(たいおん)は声(こえ)(まれ)なり。大象(たいしょう)は形(かたち)(な)し。(みち)は隠(かく)れて名(な)(な)し。夫(そ)れ唯(ただ)(みち)は善(よ)く貸(か)し且(か)つ成(な)す。

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第四十二章

道生一。一生二。二生三。三生萬物。萬物負陰而抱陽。冲氣以爲和。人之所惡。惟孤寡不穀。而王公以爲稱。故物或損之而益。或益之而損。人之所教。我亦教之。強梁者不得其死。吾將以爲教父。

(みち)は一(いつ)を生(しょう)ず。一(いつ)は二(に)を生(しょう)じ、二(に)は三(さん)を生(しょう)じ、三(さん)は万物(ばんぶつ)を生(しょう)ず。万物(ばんぶつ)は陰(いん)を負(お)うて陽(よう)を抱(いだ)き、冲気(ちゅうき)は以(もっ)て和(わ)を為(な)す。人(ひと)の悪(にく)む所(ところ)は、惟(ただ)、孤寡(こか)不穀(ふこく)なり。而(しか)るに王公(おうこう)は以(もっ)て称(しょう)と為(な)す。故(ゆえ)に物(もの)(あるい)は之(これ)を損(そん)して益(えき)し、或(あるい)は之(これ)を益(えき)して損(そん)す。人(ひと)の教(おし)うる所(ところ)は、我(われ)も亦(また)(これ)を教(おし)う。強梁(きょうりょう)なる者(もの)は其(そ)の死(し)を得(え)ず。(われ)(まさ)に以(もっ)て教(おし)えの父(ちち)と為(な)さんとす。

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第四十三章

天下之至柔。馳騁天下之至堅。無有入於無間。吾是以知無爲有益。不言之教。無爲之益。天下希及之。

天下(てんか)の至柔(しじゅう)は、天下(てんか)の至堅(しけん)を馳騁(ちてい)す。(う)(な)くして間(かん)(な)きに入(い)る。吾(われ)(ここ)を以(もっ)て無為(むい)の益(えき)(あ)ることを知(し)る。不言(ふげん)の教(おし)え、無為(むい)の益(えき)、天下(てんか)(これ)に及(およ)ぶこと稀(まれ)なり。

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第四十四章

名與身孰親。身與貨孰多。得與亡孰病。是故甚愛必大費。多藏必厚亡。知足不辱。知止不殆。可以長久。

(な)と身(み)と孰(いず)れか親(した)しき、身(み)と貨(か)と孰(いず)れか多(おお)き、得(え)ると亡(うしな)うと孰(いず)れか病(や)ましき。是(こ)の故(ゆえ)(はなは)だ愛(あい)すれば必(かなら)ず大(おお)いに費(つい)し、(おお)く蔵(ぞう)すれば必(かなら)ず厚(あつ)く亡(うしな)う。足(た)ることを知(し)れば辱(はずかし)められず、止(とど)まることを知(し)れば殆(あや)うからず。以(もっ)て長久(ちょうきゅう)す可(べ)し。

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第四十五章

大成若缺。其用不弊。大盈若冲。其用不窮。大直若屈。大巧若拙。大辯若訥。躁勝寒。靜勝熱。清靜爲天下正。

大成(たいせい)は欠(か)くるが若(ごと)く、其(そ)の用(よう)(やぶ)れず、大盈(たいえい)は沖(みな)しきが若(ごと)く、其(そ)の用(よう)(きわ)まらず。大直(たいちょく)は屈(くっ)するが若(ごと)く、大巧(たいこう)は拙(せつ)なるが若(ごと)く、大弁(たいべん)は訥(とつ)なるが若(ごと)し。(そう)なるは寒(かん)に勝(か)ち、(せい)なるは熱(ねつ)に勝(か)つ。清静(せいせい)なるは天下(てんか)の正(せい)と為(な)る。

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