漢詩作法入門講座

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老子 第二十八章〜第三十七章

『老子』は、『老子道徳経』あるいは『道徳経』とも呼ばれ、「老子」という人物が書いたとされる書であり、『荘子』と並ぶ道家の代表的書物である。著者の「老子」は、中国春秋時代、楚の思想家。姓名を李耳、字は耼といい、「老子」は、その尊称と言われている。不明な部分も多く、実在が疑問視されることもある。三清の一人である太上老君の神名を持つ。

本Webページでは、原文と訓読のみを掲載(素読)します。詳しい解説については、多くの書籍が市販されていますので、そちらの方をお読みください。

また、格言集や名言集などによく掲載されている部分を強調表示しました。

第二十八章

知其雄。守其雌。爲天下谿。爲天下谿。常德不離。復歸於嬰兒。知其白。守其黒。爲天下式。爲天下式。常德不忒。復歸於無極。知其榮。守其辱。爲天下谷。爲天下谷。常德乃足。復歸於樸。樸散則爲器。聖人用之。則爲官長。故大制不割。

(そ)の雄(ゆう)を知(し)りて、其(そ)の雌(し)を守(まも)れば、天下(てんか)の谿(けい)と為(な)る。天下(てんか)の谿(けい)と為(な)れば、常徳(じょうとく)(はな)れず、嬰児(えいじ)に復帰(ふっき)す。其(そ)の白(しろ)きを知(し)りて、其(そ)の黒(くろ)きを守(まも)れば、天下(てんか)の式(のり)と為(な)る。天下(てんか)の式(のり)と為(な)れば、常徳(じょうとく)(たが)わず、無極(むきょく)に復帰(ふっき)す。其(そ)の栄(えい)を知(し)りて、其(そ)の辱(じょく)を守(まも)れば、天下(てんか)の谷(たに)と為(な)る。天下(てんか)の谷(たに)と為(な)れば、常徳(じょうとく)(すなわ)ち足(た)りて、樸(ぼく)に復帰(ふっき)す。樸(ぼく)は散(さん)ずれば則(すなわ)ち器(き)と為(な)る。聖人(せいじん)(これ)を用(もち)いて、則(すなわ)ち官(かん)の長(ちょう)と為(な)す。故(ゆえ)大制(たいせい)は割(さ)かず。

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第二十九章

將欲取天下而爲之者。吾見其不得已。天下神器。不可爲也。爲者敗之。執者失之。凡物或行或隨。或噓或吹。或強或贏。或載或隳。是以聖人。去甚去奢去泰。

(まさ)に天下(てんか)を取(と)らんと欲(ほっ)して之(これ)を為(な)す者(もの)は、吾(われ)(そ)の已(や)むを得(え)ずを見(み)る。天下(てんか)は神器(しんき)なり、為(な)す可(べ)からざるなり。(な)す者(もの)は之(これ)を敗(やぶ)り、執(と)る者(もの)は之(これ)を失(うしな)う。凡(およ)そ物(もの)、或(あるい)は行(ゆ)き或(あるい)は随(したが)う、或(あるい)は嘘(きょ)し或(あるい)は吹(ふ)く、或(あるい)は強(つよ)く或(あるい)は贏(よわ)し、或(あるい)は載(の)せ或(あるい)は隳(やぶ)る。是(ここ)を以(もっ)て聖人(せいじん)は、甚(はなは)だしきを去(さ)り、奢(しゃ)を去(さ)り、泰(たい)を去(さ)る。

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第三十章

以道佐人主者。不以兵強天下。其事好還。師之所處。荊棘生焉。大軍之後。必有凶年。故善者果而已。不敢以取強。果而勿矜。果而勿伐。果而勿驕。果而不得已。果而勿強。物壯則老。是謂不道。不道早已。

(みち)を以(もっ)て人主(じんしゅ)を佐(たす)くる者(もの)は、兵(へい)を以(もっ)て天下(てんか)を強(つよ)くせず。其(そ)の事(こと)(かえ)るを好(この)む。(し)の処(お)る所(ところ)、荊棘(けいきょく)(しょう)ず。大軍(たいぐん)の後(あと)には、必(かなら)ず凶年(きょうねん)(あ)り。(ゆえ)に善(ぜん)なる者(もの)は果(はた)して已(や)む。敢(あえ)て以(もっ)て強(きょう)を取(と)らず。果(はた)して而(しか)して矜(ほこ)ること勿(なか)れ。果(はた)して而(しか)して伐(ほこ)ること勿(なか)れ。果(はた)して而(しか)して驕(おご)ること勿(なか)れ。果(はた)して而(しか)して已(や)むことを得(え)ず。果(はた)して而(しか)して強(きょう)なること勿(なか)れ。(もの)(さか)んなれば則(すなわ)ち老(お)ゆ。(これ)を不道(ふどう)と謂(い)う。不道(ふどう)は早(はや)く已(や)む。

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第三十一章

夫佳兵者。不祥之器。物或惡之。故有道者不處。是以君子居則貴左。用兵則貴右。兵者不祥之器。非君子之器。不得已而用之。恬淡爲上。勝而不美。而美之者。是樂殺人也。夫樂殺人者。不可以得志于天下矣。吉事尚左。凶事尚右。是以偏將軍處左。上將軍處右。言以喪禮處之。殺人衆。以悲哀泣之。戰勝以喪禮處之。

(そ)れ兵(へい)を佳(よ)くするは、不祥(ふしょう)の器(き)なり。(もの)(あるい)は之(これ)を悪(にく)む。故(ゆえ)に道(みち)(あ)る者(もの)は処(お)らず。是(ここ)を以(もっ)て君子(くんし)(お)るときは則(すなわ)ち左(ひだり)を貴(たっと)び、兵(へい)を用(もち)うるときは則(すなわ)ち右(みぎ)を貴(たっと)ぶ。兵(へい)は不祥(ふしょう)の器(き)なり。君子(くんし)の器(き)に非(あら)ず。已(や)む得(え)ずして之(これ)を用(もち)うるときは、恬淡(てんたん)を上(じょう)と為(な)し、勝(か)てども美(び)とせず。而(しか)して之(これ)を美(び)とする者(もの)は、是(これ)(ひと)を殺(ころ)すことを楽(たの)しむなり。(そ)れ人(ひと)を殺(ころ)すことを楽(たの)しむ者(もの)は、以(もっ)て志(こころざし)を天下(てんか)に得(う)(べ)からず。吉事(きつじ)は左(ひだり)を尚(たっと)び、凶事(きょうじ)は右(みぎ)を尚(たっと)ぶ。是(ここ)を以(もっ)て偏将軍(へんしょうぐん)は左(ひだり)に処(お)り、上将軍(じょうしょうぐん)は右(みぎ)に処(お)る。言(い)うこころは喪礼(そうれい)を以(もっ)て之(これ)に処(お)るなり。人(ひと)を殺(ころ)すこと衆(おお)ければ、悲哀(ひあい)を以(もっ)て之(これ)に泣(な)く。(たたか)い勝(か)てば喪礼(そうれい)を以(もっ)て之(これ)に処(お)る。

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第三十二章

道常無名。樸雖小。天下莫能臣也。侯王若能守。萬物將自賓。天地相合。以降甘露。民莫之令而自均。始制有名。名亦既有。夫亦將知止。知止所以不殆。譬道之在天下。猶川谷之於江海。

(みち)は常(つね)にして名(な)づくる無(な)し。(ぼく)は小(しょう)なりと雖(いえど)も、天下(てんか)(よ)く臣(しん)とすること莫(な)し。侯王(こうおう)(も)し能(よ)く守(まも)らば、万物(ばんぶつ)(まさ)に自(みずか)ら賓(ひん)せんとす。天地(てんち)(あい)(がっ)して、以(もっ)て甘露(かんろ)を降(くだ)す。民(たみ)(これ)に令(れい)すること莫(な)くして而(しか)して自(みずか)ら均(ひと)し。始(はじ)めて制(せい)して名(な)づくる有(あ)り。名(な)(また)(すで)に有(あ)り。夫(そ)れ亦(また)(まさ)に止(とど)まることを知(し)らんとす。(とど)まることを知(し)るは殆(あや)うからざる所以(ゆえん)なり。(たと)えば道(みち)の天下(てんか)に在(あ)るは、猶(なお)川谷(せんこく)の江海(こうかい)に於(お)けるがごとし。

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第三十三章

知人者智。自知者明。勝人者有力。自勝者強。知足者富。強行者有志。不失其所者久。死而不亡者壽。

(ひと)を知(し)る者(もの)は智(ち)なり、自(みずか)ら知(し)る者(もの)は明(めい)なり。人(ひと)に勝(か)つ者(もの)は力(ちから)(あ)り、自(みずか)ら勝(か)つ者(もの)は強(きょう)なり。足(た)るを知(し)る者(もの)は富(と)めり。(つと)めて行(おこな)う者(もの)は志(こころざし)(あ)り。其(そ)の所(ところ)を失(うしな)わざる者(もの)は久(ひさ)し。(し)して而(しか)して亡(ほろ)びざる者(もの)は壽(いのちなが)し。

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第三十四章

大道汎兮。其可左右。萬物恃之。以生而不辭。功成不居。衣被萬物。而不爲主。常無欲。可名於小。萬物歸之。而不爲主。可名爲大。以其終不自爲大。故能成其大。

大道(だいどう)は汎(はん)として、其(そ)れ左右(さゆう)す可(べ)し。万物(ばんぶつ)(これ)を恃(たの)みて、以(もっ)て生(しょう)ずれども辞(じ)せず。功(こう)(な)りて居(お)らず、万物(ばんぶつ)を衣被(いひ)して、而(しか)も主(しゅ)と為(な)らず、常(つね)に欲(よく)(な)し、小(しょう)と名(な)づく可(べ)し。万物(ばんぶつ)(これ)に帰(き)して、而(しか)も主(しゅ)と為(な)らず、名(な)づけて大(だい)と為(な)す可(べ)し。(そ)の終(つい)に自(みずか)ら大(だい)と為(な)さざるを以(もっ)て、故(ゆえ)に能(よ)く其(そ)の大(だい)を成(な)す。

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第三十五章

執大象。天下往。往而不害。安平泰。樂與餌。過客止。道之出言。淡乎其無味。視之不足見。聽之不足聞。用之不可既。

大象(だいしょう)を執(と)りて、天下(てんか)に往(ゆ)く。往(ゆ)きて害(がい)せず。安平泰(あんへいたい)なり。(がく)と餌(じ)とは、過客(かかく)(とど)まる。(みち)の言(げん)に出(い)だすは、淡乎(たんこ)として其(そ)の味(あじ)わい無(な)し。(これ)を視(み)れども見(み)るに足(た)らず、之(これ)を聴(き)けども聞(き)くに足(た)らず、之(これ)を用(もち)いて既(つく)す可(べ)からず。

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第三十六章

將欲噏之。必固張之。將欲弱之。必固強之。將欲廢之。必固興之。將欲奪之。必固與之。是謂微明。柔弱勝剛強。魚不可脱於淵。國之利器不可以示人。

(まさ)に之(これ)を噏(おさ)めんと欲(ほっ)すれば、必(かなら)ず固(しば)らく之(これ)を張(は)る。将(まさ)に之(これ)を弱(よわ)めんと欲(ほっ)すれば、必(かなら)ず固(しば)らく之(これ)を強(つよ)くす。将(まさ)に之(これ)を廃(す)てんと欲(ほっ)すれば、必(かなら)ず固(しば)らく之(これ)を興(おこ)す。将(まさ)に之(これ)を奪(うば)わんと欲(ほっ)すれば、必(かなら)ず固(しば)らく与(あた)う。是(こ)れ微明(びめい)を謂(い)う。柔弱(じゅうじゃく)は剛強(ごうきょう)に勝(か)つ。(いお)は淵(ふち)を脱(だっ)す可(べ)からず。国(くに)の利器(りき)は以(もっ)て人(ひと)に示(しめ)す可(べ)からず。

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第三十七章

道常無爲。而無不爲。侯王若能守之。萬物將自化。化而欲作。吾將鎭之以無名之樸。無名之樸。亦將不欲。不欲以靜。天下將自正。

(みち)の常(つね)なるは為(な)すこと無(な)く、而(しか)して為(な)さざること無(な)し。侯王(こうおう)(も)し能(よ)く之(これ)を守(まも)れば、万物(ばんぶつ)(まさ)にに自(おの)ずから化(か)せんとす。化(か)して作(な)さんと欲(ほっ)すれば、吾(わ)れ将(まさ)に之(これ)を鎮(しず)むるに無名(むめい)の樸(ぼく)を以(もっ)てせんとす。無名(むめい)の樸(ぼく)は、亦(また)(まさ)に欲(ほっ)せざらんとす。欲(ほっ)せずして以(もっ)て静(しず)かなれば、天下(てんか)(まさ)に自(おの)ずから正(ただ)しからんとす。

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