「漢文とは何か」(其の一)〜日本と中国で「漢文」の意味が異なる?

このブログのタイトルである「趣味の漢詩漢文」の「漢詩」や「漢文」という単語が指す言葉の意味は何となくイメージとしては分かるという人が一般的ではないでしょうか。

実際、私自身も改めて「漢詩とは」あるいは「漢文とは」を説明してくださいと言われるとうまく説明する自信はありません。

つまり、「漢詩とは何か」「漢文とは何か」ということが、漠然とは認知していても、正確には理解していない私自身の勉強不足の表れということです。
そこで、初心に戻って「漢文とは何か」を勉強してみることにしました。

日本と中国で「漢文」の意味が異なる

我々が「漢詩」とか、「漢文」という言葉を使う場合、それは「中国の詩」、「中国の文」という意味で使っています。

つまり、「漢土」は、中国、「漢人」は中国人、漢字は「中国の文字」、「漢語」は中国語のように「漢」の一字は「中国」を意味しています。

では、次に「前漢」、「後漢」という言葉はどうでしょうか?この「漢」も「中国」を意味するのでしょうか?

答えは「否」です。この「漢」は「時代」あるいは「王朝」を表す単語です。
「漢」は、中国の王朝名で、「前漢(紀元前206年 – 8年)」と「後漢(25年 – 220年)」の二つの王朝を総称して「漢王朝」と呼びます。この王朝の初代皇帝が、「項羽と劉邦」の「劉邦」です。

そのため中国では「漢詩」は「漢王朝時代の詩」、「漢文」は「漢王朝時代の文」の意味で使用されます。

我々が「漢文」と呼ぶ中国古典を対象とする単語は、中国では「文言文(文言あるいは古文ともいう)」と言います。

また、文には「散文」と「韻文」がありますが、「散文」を「漢文」、「韻文」を「漢詩」と分けて考える場合もありますが、広義には「漢文」は、その両方を含むと考えるのが一般的です。

このブログでは「漢詩漢文」と分けていますが、これは狭義の「漢文」の意味として分けたのではなく、単純に「漢詩」という単語を独立して表示したい私の思いの表れにしかすぎません。

今回の勉強で、日本と中国では同じ「漢文」という言葉も意味が異なることが分かりました。


今回のキーワード

漢詩、漢文、文言文、散文、韻文


今回の勉強で使用したテキスト

前野直彬(2015年)『漢文入門』筑摩書房
加藤徹(2013年)『白文攻略 漢文法ひとり学び』白水社
古田島洋介・湯城吉信(2011年)『漢文訓読入門』明治書院
小川 環樹・西田 太一郎(1957年)『漢文入門』岩波書店

投稿者: 滄洲

趣味で漢詩を作ったり、三体詩や聯珠詩格などの詩集、論語や老子などの漢文を読んだりしている「滄洲」と言います。 よろしくお願いします。